キャブチェアとは

キャブチェアについて

世の中にはたくさんの椅子があり、「ただ座るもの」としての役割だけではなく「美しい芸術品」としての役目をも担います。
今回はそんな椅子である「CABアームレスチェア」について取り上げます。

歴史あるカッシーナ、その特徴と特色

Cassina(カッシーナ。以下カタカナ表記)は、常に洗練された家具を打ち出し続ける家具ブランドの名門です。その人気と技術は非常に高く、世界中で愛されています。モダンファニチャーの指導的立場とも評されるカッシーナの歴史は、1927年から始まります。イタリアのミラノ郊外・メダにて設立されたのが最初で、1948年には外部のデザイナーなどとコラボレーションを始めます。

この「外部のデザイナーとコラボレーションしていくスタイル」は、カッシーナの名を不動のものにする礎となりました。豪華客船のインテリアとしても採用されたカッシーナの家具は、多くの人の耳目を集めました。美術館にも取り入れられるなど、名実ともにイタリア家具の盟主としてカッシーナは成長し続けていきます。カッシーナの作り出す家具は、常に現代的で、洗練されていて、それでいて普遍的な魅力を持ち続けます。その時代における最先端の技術に果敢にチャレンジし続ける技術力の革新性や確かさもまた、カッシーナの打ち出す家具の魅力だといえます。そして、このような歴史と理念のなかで生み出されたものとして、「CAB(キャブ。以下カタカナ表記)アームレスチェア」があります。

今から45年ほども前、
その歴史的な椅子
キャブアームレスチェアは誕生した

「キャブアームレスチェア」は、カッシーナの生み出す家具のなかでももっとも知名度の高い商品のうちのひとつだといえます。カッシーナの最高傑作として名高いマラルンガソファ同様、多くの人に注目されてきた家具だといえます。
キャブアームレスチェアが誕生したのは、今から約45年も前、1977年のことです。1973年にマラルンガソファが打ち出されていますが、それから4年後に誕生したこのキャブアームレスチェアはそのときから変わることのない人気を博し続けています。
キャブアームレスチェアは、非常にベーシックな作りをしています。「4本の足と、座面と、そして背もたれ」という、はるか昔からもちいられてきた「椅子」そのもののかたちをしています。
しかしキャブアームレスチェアは、決して古臭さを感じさせるものではありません。なぜならキャブアームレスチェアは、デザイナーであるマリオ・ベリーニ(後述します)が家具に対して真摯な研究心と探求心をもって作り上げた唯一無二の椅子だからです。 「その椅子が、人間に対してどのような充足感を与えるか」「どのようにしたら、人間の体をよりソフトに作り上げられるか」を考え抜いて作り上げたキャブアームレスチェアは、非常に特別な椅子だといえます。

なお、キャブアームレスチェアの制作秘話として、非常に面白い話があります。マリオ・ベリーニはたしかにキャブアームレスチェアをデザインしていますが、実はこのキャブアームレスチェアが作り出された場所は、マリオ・ベリーニのデザイン事務所ではありません。
彼は鉛筆を持ってカッシーナの開発部門に出向き、そこのスタッフ(2人いたとされています)とともにキャブアームレスチェアを作り上げたとしています。
今もなお世界にその名前を残すキャブアームレスチェアは、たった1本の、しかしデザインづくりの基本となるたった1本の鉛筆と、マリオ・ベリーニの探求心、そしてカッシーナのスタッフの情熱から始まったのです。
なお、キャブアームレスチェアは14の工程を必要とする16の皮のパーツを「原材料」としていますが、その14の工程はすべて手作業で成し遂げられています。その工程を経た後に縫い合わされて、45年を生き続けるキャブアームレスチェアが作られているわけです。

高級感あふれる
キャブアームレスチェアは、
使い続けることで味が出る

キャブアームレスチェアが45年もの長い間愛し続けられている理由のひとつは、長期間の使用に耐えうる椅子だからです。性能面とデザイン面の両方において、キャブアームレスチェアは卓越した評価を得ています。
まずは性能面についてみていきましょう。
キャブアームレスチェアは、金属のフレームを基本としています。非常にユニークなことに、キャブアームレスチェアの場合は、「厚手の皮を使って金属のフレームを覆う」という手法がとられています。この厚手の皮と金属のフレームは非常によく調和し、独特の張りを生み出します。それによって、体を包み込むフィット感と、ほかの椅子では出しえない快適な座り心地を実現しているのです。
デザイン面についても注目しましょう。
キャブアームレスチェアに使われている本革は、その性質として、「使い続けることで色が変わっていく」という特徴があります。これは「経年劣化」とはまったく別の意味を持ちます。
本革の色の変化は、2つとして同じものはなく、それぞれの色合いの度合いが異なります。キャブアームレスチェアはもともと「飽きが来ない色の本革」で作られていますが、この経年変化により、「世界に2つとない椅子」「自分だけの椅子」が徐々に作り上げられていくわけです。

キャブアームレスチェアを語るうえで外すことのできない「本革・なめし皮」にもエピソードがあります。カッシーナが提携している工場ですから、当然これらの皮を生み出すなめし皮工場は非常にレベルの高い技術を持っています。また、取り扱っている皮も上質なものです。しかしそれでいてなお、その工場で作られる皮のうちの60パーセントは、「カッシーナの品質基準を満たさず」としてはねられてしまいます。 つまり、キャブアームレスチェアに使われている皮は、「上質の品質の皮を、最上級の技術を持つ工場で生産し、そのうえで通過率40パーセントという狭き門を潜り抜けた最高級の皮」なのです。

キャブアームレスチェアを作り出した
デザイナー、
マリオ・ベリーニ

最高級の素材と、最高の技術で作り上げられるキャブアームレスチェアの基礎を作ったマリオ・ベリーニについてみていきましょう。

マリオ・ベリーニは1935年にイタリアのミラノで生まれました。彼がもともと先行していたのは建築学であり、ミラノ工科大学を出ています。彼は初めから家具デザイナーの道を歩んだわけではなく、初めはタイプライターなどの開発に携わっていました。

しかしその後カッシーナの家具を手掛けるようになります。また、日本のブランドであるヤマハの電気製品のなかにも、彼が手掛けたものがあります。
キャブアームレスチェアという唯一無二の椅子を生み出したマリオ・ベリーニは、コンパッソ・ドーロ(イタリアンデザインの賞であり、権威と歴史を持つ)を複数回にわたって受賞しているだけでなく、それ以外にも数多くの賞を受賞しています。しかし彼の活躍の場は「家具」にだけあるのではなく、「建築」の分野にもあります。 そのため彼は、「イタリアでもっとも多才な人物のうちの1人」とされています。

キャブアームレスチェアの
展開について

カッシーナの家具らしく、色展開は非常に豊富です。

受注前提となるものもありますが、自分の好きな色を選べるのもキャブアームレスチェアの魅力だといえるでしょう。

納品実例

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